手足口病は5歳以下の子どもに多い病気ですが、大人にもうつります。HIV、がん、移植、ステロイドの長期内服などで免疫が弱っている人は特に注意が必要です。人ごとに手足口病に気を付けるべき点を説明します。
赤ちゃんは免疫が未完成なので感染症にかかりやすい
手足口病が最も多い年齢は5歳以下です。重症になることはごくまれにあります。免疫が強くなった大人に比べると、子どものほうが重症になる割合はやや大きいですが、それでもごくまれです。
注意が必要なのは、産まれてから28日未満の赤ちゃんです。産まれてすぐは免疫のしくみがまだ発達していないので、手足口病のようなウイルスの感染には弱い状態です。大きくなった子が手足口病によって危険な状態に陥ることはごくまれですが、新生児では比較的多くなります。
赤ちゃんの様子がおかしいときは急いで病院へ
赤ちゃんの様子がいつもと違うとき、ぐったりしているときは、急いで小児科、皮膚科、内科のある病院・クリニックに相談してください。
手足口病は子どもに多い病気ですが、大人もかかります。ただ割合で言うと子どもよりずっと少なく、感染する大人は小さな子どもと同居している人がほとんどです。
大人の手足口病は家でうつされていることが多い
手足口病の原因はウイルスの感染です。手足口病のウイルスは子どもから大人へもうつります。
同居している子どもに手足口病の症状が出てきたら、子どもも大人もマスクをして、極力直接触れないように気をつけてください。
手足や唇・口の中の水ぶくれ以外で一見症状がない場所にも、ウイルスがいる可能性はあります。直接触れるような場面では、触れた後に必ず手洗いを行ってください。
大人は熱が下がるまで安静
大人が感染して重症になることはあまりありません。安静にしていればほとんどの場合は自然に治ります。緊急の用事以外では外出しないでください。
仕事を休んだほうがいい期間については「解熱して1日以上経って、普段の食事ができる状態」という目安があります。
手足口病に抗生物質(抗菌薬)は効かない
手足口病のウイルスに効く薬はありません。ウイルスは細菌とは違うので、細菌に効く薬である抗菌薬(抗生剤、抗生物質)は手足口病には効きません。
妊婦が手足口病にかかってもお腹の中の子どもに影響が及ぶことはまずありません。落ち着いて病院・クリニックで治療を受けましょう。
妊娠中は免疫が落ちていると一般に言われています。このため、ウイルスが原因である手足口病についても、妊娠していない大人に比べると、注意したほうが良いと言えます。
妊婦は上の子から感染することが多い
大人の手足口病は、同居している子どもから感染する場合が多いです。妊娠しているときに、上の子や周りの人が手足口病にかかったときは、手洗いうがいとマスク着用を心がけてください。
万が一手足口病にかかっても慌てなくいい
手足口病はそもそも子どもに多い病気で、うつるのも子どもが多く、大人が手足口病になる可能性は低いです。また、妊婦が手足口病にかかってもお腹の中の子どもに影響が及ぶといった報告はありません。
安静にして元気を付けて、しっかり治しましょう。
妊娠中の薬には気を付けて
解熱鎮痛薬の飲み薬や坐薬の中には妊娠中に使用してはいけないもの、注意して使用するべきものもあります。妊娠中に熱でつらくなったら、安易に市販の解熱鎮痛薬を使うのではなく、かかりつけの病院・クリニックで相談してください。
また、病院で解熱鎮痛薬が出された時は「どのくらいの発熱で使うべきか?」「どのくらいの間隔やタイミングで使えばいいか?」などを医師や薬剤師からよく聞くようにしてください。
免疫の低下している人が手足口病にかかった場合、重症になるリスクが上がると考えられます。明らかにおかしい症状が出てきたときは医療機関に相談しましょう。