実施背景
お子様の皮膚のトラブルやアレルギーの問題は多くの保護者の心配事であり、その予防やケアなどは重要な関心事項です。
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーに関する知識、予防やケアの情報を提供することで、保護者の皮膚領域における心配事を低減、ならびにお子様のすこやかな発育に役立つと考え、弊社が接点を持つ保護者の皆様に、大塚製薬株式会社が保有するアレルギー関連情報を発信し、情報発信の前後のアンケート調査によりその効果を評価しました。
この取り組みは、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長で横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼任されている、馬場直子先生に監修いただいています。
実施概要
・実施時期:2023年3月28日~5月21日
・対象:「まめコミ」会員のうち、妊娠中の方および生後14か月までのお子様がいる保護者
・回答者数:3,863名(啓発前3,863名、啓発後2,013名)
・調査方法:
対象者に対して、次の手順でアンケートと情報発信を実施し、啓発効果を測定
①乳幼児のアレルギーに関する1回目のアンケート調査を実施
②アレルギーに関する計3回のメールマガジンによる情報発信を実施
③乳幼児のアレルギーに関する2回目のアンケート調査を実施
※アレルギーに関する計3回の情報発信内容
1回目:アレルギーマーチ
2回目:スキンケア
3回目:アトピー性皮膚炎と食物アレルギー
1回目アンケート結果(抜粋)
お子様に肌荒れや湿疹が出た経験がある
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お子様への保湿の頻度(妊娠中の方は予定頻度)
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もし、お子様に湿疹が出た場合最初にどのように対処しますか。
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啓発活動前アンケート(1回目)と啓発後アンケート(2回目)の結果の比較
比較1
お子様のアレルギーについての不安や心配がある人の割合
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アレルギーへの不安(とてもある・ある)割合は2回目で低下した
比較2
お子様に保湿をしようと思った理由
(お子様への保湿の頻度が「毎日」「2~3日に1回」「週に1回」と回答した方への質問)
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保湿の目的をアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを防ぐ目的とする割合が2回目で増加した
調査結果の考察
今回の調査では啓発前3,863件、啓発後2,013件のデータを得ることができました。項目にわけて説明いたします。
子どもの肌の健康
・子どもに肌荒れや湿疹が出た経験がある保護者が多い(88.7%)ことがわかりました。
・湿疹が出た後、様子を観る保護者が多く、専門医療機関を受診する割合は36.5%に留まったため、まずは経過観察をしている保護者が多いと考えられます。
第1回目アンケート調査から判明した保護者の皮膚領域におけるヘルスリテラシーの状況
・子どものアレルギーについて、76.6%の保護者が不安や心配に感じています。一方で、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の違いを説明できない保護者の割合が80.3%と高いことがわかりました。
・保湿をする理由として、「乾燥を防ぐ」が80.9%、「肌荒れを防ぐ」が88.4%、「きれいな肌の維持」が82.6%だったのに対し、アトピー性皮膚炎予防は50.7%、食物アレルギー予防は28.7%と、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの予防を理解している保護者は限られていることがわかりました。
・保護者のうち、赤ちゃんのかゆみのサインを知っていたのは30.4%、抗原侵入経路を知っていたのは40.7%、アレルギーマーチという言葉を知っていたのは17.3%でした。
情報提供後の変化
1回目のアンケート実施後、会員向けメールマガジンでアレルギーやスキンケアについての情報提供を行いました。その後2回目のアンケートを実施し、アンケート前後の回答結果から情報提供の効果を検討しました。
・今回の調査では、啓発コンテンツを提供することで、ヘルスリテラシーが向上していました。
・アレルギーへの不安(とてもある・ある)の割合は2回目で低下しました。
・赤ちゃんの痒みのサインを知っていると答えた人の割合が2回目で増加しました。
・保湿の目的をアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを防ぐ目的とする割合が2回目で増加しました。
・食物アレルギーの初期感作経路を理解している割合が2回目で増加しました。またアトピー性皮膚炎が食物アレルギーや喘息のリスクになることを知っている割合が2回目で増加しました。
今回の取り組みで、アレルギーに関する適切な情報が提供されることで、アレルギーやスキンケアに対する保護者の不安が低減できるとともに、対応策を知るきっかけとなりうることが示唆されました。
今後は、メンバーズサイト「まめコミ」にて、アレルギーに関する知識や予防方法だけでなく、医療機関を受診する目安や適切な時期について啓発するとともに、二重抗原曝露仮説やアレルギーマーチについて理解を促す取り組みも検討したいと考えています。
また、育児中だけでなく、妊娠中の保護者に向けたアレルギー情報の提供についても検討してまいります。
※5二重抗原曝露仮説:食物アレルギーの原因物質が皮膚から侵入するとアレルギーを発症するが、適切な時期と量で口から摂取すると免疫寛容によりその食物に対するアレルギーは発症しないという考え方
※6アレルギーマーチ:年齢によりアレルギー症状が異なる形で現れること
”まめコミ”
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