アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに、ステロイドの塗り薬を使って通常より積極的な治療をすると、卵アレルギーを発症する割合が減ったとする研究結果を、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の研究グループが発表した。
食物アレルギーは、バリアー機能が落ちた皮膚に、食べ物に含まれる原因物質(アレルゲン)が触れることで発症する、との説が主流になっていて、このメカニズムを裏付ける結果となった。
調査は2017年7月~21年2月、アトピー性皮膚炎と診断された生後7~13週の赤ちゃんを対象に実施。湿疹がある部分だけにステロイド薬を塗る「通常の治療」をするグループ(322人)と、湿疹がない部分も含め、全身にステロイドを塗る「積極的な治療」をするグループ(318人)に無作為に分け、食物アレルギーの中で最も多い鶏卵アレルギーの有無を生後28週の時点で検査した。
すると、通常の治療をしたグループでは、鶏卵アレルギーを発症した赤ちゃんが41・9%だったのに対し、積極的な治療をしたグループでは31・4%だった。
食物アレルギーは、皮膚の荒れた部分にアレルゲンが触れ、体内に入ることで発症する一方、発症前の早いうちからアレルゲンを含む食べ物を食べると、免疫反応が起こらずアレルギーを抑えるという仮説が、近年の研究で有力視されている。
食物アレルギーを発症する子どもの多くはアトピー性皮膚炎を併発している。仮説にもとづけば、家庭などで調理した食べ物のアレルゲンが部屋の中に細かく散り、皮膚炎で荒れた肌に触れることで、食物アレルギーを発症していると考えられる。
アトピー性皮膚炎は、見た目に湿疹がない部分でも、炎症が起きてバリアー機能が落ちている可能性がある。研究では、全身に「積極的な治療」をしたグループで、より皮膚炎の症状を改善する結果が出た。その結果、肌のバリアー機能が回復し、食物アレルギーを発症する割合が低くなったと考えられる。
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まとめ
アトピー性皮膚炎での積極的な治療が、食物アレルギーの発症率を低下させる可能性があることが新たな研究で示された。この結果は、生後の早い時期に皮膚の状態を改善することが、将来的な食物アレルギーのリスクを減らすことにつながる可能性があることを示唆している。
よくある質問
アトピー性皮膚炎を持つ赤ちゃんに対するステロイド治療は安全ですか?
今回の研究では、ステロイド治療が積極的な治療法として検討されています。しかし、具体的な治療法については医師の指示に従うことが重要です。赤ちゃんの場合、特に皮膚の状態に合わせた治療法が必要となります。
どのような食物アレルギーが最も多いですか?
食物アレルギーの中で最も多いのが鶏卵アレルギーです。そのため、今回の研究では特に鶏卵アレルギーに焦点を当てて検証が行われました。