日本の病院統合、受診のしやすさに影響?医療へのアクセスが不安になる可能性も【読売新聞】

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[ad_1]A-Hospital市民病院の再編統合問題について

兵庫県の市民病院に関する再編統合問題

 ある地域の医療機関の再編統合が話題となっています。兵庫県三田市の三田市民病院と神戸市北区の済生会兵庫県病院の再編統合についての議論が進んでいます。

 今年7月の三田市長選挙で、候補者だった田村克也氏は「病院移転の白紙撤回」を公約の一つに掲げて当選しました。しかし、その後、市長は再編統合計画の再開を表明。公約を覆す結果になりました。

別のニュース記事:https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20231125-OYO1T50009/

兵庫県での再編統合の動き

 ここでは、市民病院の再編統合問題について詳しく説明します。三田市が公開している「基本構想」には、その再編統合計画の根拠やデータがまとめられています。詳細を知りたい方は、以下のページをご覧ください。

基本構想:https://www.city.sanda.lg.jp/soshiki/5/togo/22500.html

 兵庫県では、過去20年以上にわたり多くの医療機関の再編統合が実施されてきました。例えば、2013年には三木市民病院と小野市民病院が再編されて北播磨総合医療センターになり、他にも多くの統合が行われています。民間病院と県立病院の再編統合も進んでおり、兵庫県では再編統合が積極的に進められています。例えば、22年には製鉄記念広畑病院と県立姫路循環器病センターが再編され、はりま姫路総合医療センター(略称はり姫)が開設されました。

かつての例:柏原病院の小児科閉鎖問題

 全国的に、病院の再編統合は今後ますます進展していくでしょう。最大の理由は「医療資源のサステナビリティー」問題にあります。サステナビリティーとは、持続可能性のことを指します。

 日本では1961年に国民皆保険制度が整備され、誰でも気軽に安価な医療サービスを受けられるようになりました。この制度は世界的にも珍しいものであり、日本の医療の利便性を確保しました。

 しかしながら、この「気軽に誰でも受診できる医療」制度にはいくつかの矛盾や問題が生じています。夜間や休日でも気軽に受診できることは便利ですが、そのためには医療従事者を24時間配置する必要があります。スタッフが不足している病院では、過剰労働や睡眠不足、過労などの問題が生じます。限界に達した病院では、医療従事者の退職や診療科の廃止といった問題が起こることもあります。

 以前、兵庫県立柏原病院の小児科が閉鎖寸前になり、地域住民が「小児科を守る会」を結成する事態が起きました。これは、再編統合の問題に象徴的な例です。

「人口1000人あたり病床数13.0」の一方で

 日本は世界的に見ても病院の数が非常に多い国です。人口あたりの病床数も多く、世界銀行によると、人口1000人あたりの病床数は13.0。これは、ドイツの8.0、フランスの5.9、米国の2.9などと比べて非常に多いです。

 それに対して、人口1000人あたりの医師数は2.5。米国では2.6、フランスでは3.3、ドイツでは4.4です。その上、外来受診数も多く、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では、韓国に次いで外来受診数が多いことが特徴です。

データ:https://data.worldbank.org/indicator/SH.MED.BEDS.ZS?most_recent_value_desc=true

データ:https://data.worldbank.org/indicator/SH.MED.PHYS.ZS?most_recent_value_desc=true

データ:https://data.oecd.org/healthcare/doctors-consultations.htm

 要するに、日本は医療スタッフが少ない割には、病院や入院ベッド数、外来受診数が多く、医療の人的資源にかかる負担が重いといえます。

 病院の数が多ければ、病院あたりの医師数は当然減少します。それが現実であり、しかも医師の数は元から少ないです。一部の病院では、数人の医師が大きな負荷のもとで業務を遂行しなければならないこともあります。例えば、心臓や脳の手術は時間と精神的な負担が大きい作業であり、過重労働となりかねません。

医療従事者にとっての環境問題

 病院の再編統合は、医療スタッフの配置を効率的に行うことができます。チームでローテーションを組んで、必要な睡眠や休養を確保できます。睡眠不足や過労で疲れ切った医師に診察を受けることが改善されます。「寝不足と酔っ払いの医師の診察の質に変わりはない」という研究結果も示しており、医師の労働環境は医療の質と直結していることがわかっています。

研究:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/201473

 長年、日本の医療は安価で受診しやすいことを売りにしてきました。しかし、その一方で医療の質の部分は犠牲にされてきたと言えます。病気になればいつでもどこでも受診できるのですが、その医師の状態には疑問が残ります。医師の寝不足や疲労、あるいは専門的な知識の欠如が医療の質を低下させた可能性があります。かつて研修医だった筆者自身も、疲れや睡眠不足に悩まされた過去を思い出します。

医療崩壊を防ぐために

 日本では多くの医師は適切な感染対策や感染症診療のトレーニングを受けておらず、新型コロナ問題でも多くの医療機関がコロナ診療を提供できませんでした。病院の数は世界有数なのに、パンデミックのときにそれを活用できなかったのは深刻な問題でした。

 医師が長時間労働を続けて患者をサポートする医療モデルは、自殺や労働災害が多発しているため、持続することはできません。また、そのような医療体制が続くと、医療関係者は疲弊し、医療現場から離れてしまうことでしょう。そして、それが医療サービスの崩壊につながります。

参考:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20231002-OYTET50025/

 病院が近くにあり、受診が容易であることは確かに意義があります。しかし、もし病院がサポートを提供できない状態であれば、医療体制の改善が必要となります。

 医療関係者や住民として、医療資源の持続可能性を確保するための改善策を考えることが重要です。

医療資源のサステナビリティー

「医師は全力で患者に尽くすべきだ」「個人の健康や家族を顧みることは許されない」という信念が長らく医療機関で存在していました。筆者も若いころはそのような考えに共感していましたが、その考え方を改めることが重要だと痛感しています。医療資源は有限であり、サステナビリティーを確保する必要があります。

 人的資源の適切な利用とサステナビリティーの確保は、医療問題に取り組む上で欠かせない課題です。皆でメンテナンスし、医療資源の持続可能性を考える必要があるでしょう。(岩田健太郎 感染症内科医)

まとめ

今回の記事では、兵庫県の市民病院再編統合問題について詳しく取り上げました。医療機関の再編統合が進む中、医療資源の持続可能性を確保することがどれほど重要かを示唆しています。

FAQ(よくある質問)

再編統合の影響は地域住民にどのようなものがあるのでしょうか?
市民病院の再編統合によって、地域住民の医療サービスへのアクセスが変化する可能性があります。地域住民の声にも耳を傾けた上で、再編統合の影響を考えることが重要です。

再編統合によって医療の質が向上するのでしょうか?
再編統合によって、医療スタッフの状況が改善され、適切な医療サービスを提供できる環境が整えられることが期待されます。


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