その結果、新生児、乳児の消化管アレルギーの約半数は生後1ヶ月までの新生児期に発症しており、中でも重症度の高い嘔吐と血便があるグループでは発症の中央値が出生後7日目と、早期に発症していました。新生児、乳児の消化管アレルギーについて全国を対象に調査した大規模疫学研究は日本では初めてです。
本研究成果は、国際的な学術誌「AllergologyInternational」に掲載されました。
新生児、乳児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)とは、生後間もない新生児や、離乳食を開始した乳児などで起き、原因食物を摂取して数時間後~数日後に嘔吐・血便などの消化管症状を起こす疾患。数週間後に発症することもあり、食物が原因であると気付かれにくい。約7割の患者では抗原特異的なIgE抗体は検出されず、また一般的な即時型食物アレルギー(IgE依存性)の主要症状である皮膚症状がないことも特徴のひとつです。
<消化管アレルギー、発症直後の症状から分類する4つのグループ>
消化管アレルギー、パウエルの診断基準には4つのステップがあります
ステップ1:治療用ミルク(食)に変更すると症状が消失する
ステップ2:症状、検査などにより他の病気と区別できる
ステップ3:症状が消えた後は、順調に体重増加が得られる
ステップ4:原因ミルク(食物)の経口負荷試験によって症状が誘発される
経口負荷試験で症状が誘発された場合、診断確定となります。ステップ3までを満たした患者は「本症の可能性が高い」とし、ステップ4までを満たした患者を「診断が確定した」としました。
英文タイトル:「Anationwidesurveyofnon-IgE-mediatedgastrointestinalfoodallergiesinneonatesandinfants」
和文タイトル:「新生児‐乳児食物蛋白誘発胃腸症の全国調査結果」
著者名:鈴木啓子、森崎菜穂、永嶋早織、松永保、松下祥子、飯野晃、田中雄一郎、西森久史、宗像俊、
釼持学、村上至孝、佐藤未織、豊國賢治、山本貴和子、森田英明、福家辰樹、山田佳之、大塚宜一、新井勝大、大矢幸弘、斎藤博久、松本健治、野村伊知郎
所属:
国立成育医療研究センター研究所好酸球性消化管疾患研究室、戸田中央総合病院小児科、国立成育医療研究センター研究所社会医学研究部、東京都立小児総合医療センターアレルギー科、国立成育医療研究センター総合診療部、三重県立総合医療センター小児科、長野県立こども病院新生児科、北里大学病院小児科、愛媛県立今治病院小児科、国立成育医療研究センターアレルギーセンター、国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー・感染研究部、東海大学医学部小児科、順天堂大学医学部小児科、国立成育医療研究センター消化器科
掲載誌:AllergologyInternational
DOI:10.1016/j.alit.2023.10.003.
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