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「気になる息子や孫の頭の形、最新事情解説!脳神経外科が明かす」
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2024.03.15
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子供の頭の形について
乳幼児の頭の形は千差万別。気になるときは専門医に相談を
国際医療福祉大学成田病院脳神経外科に在籍する医師による「脳の話」の注目連載。その5回目は、下地一彰医師に聞く「子供の頭の形」について。幼児の“絶壁頭”や歪(ゆが)んだおでこは病気なのか…。両親や祖父母にとって大いに気になることを、小児脳神経外科のスペシャリストが鋭く解説する。
◇
みなさんは「小児脳神経外科」という分野をご存じでしょうか。一般的な脳神経外科に含まれる領域ですが、日本脳神経外科学会の会員約1万人に対して、日本小児神経外科学会の医師は1000人弱。小さなグループですが、対象とする疾患は、先天性水頭症、脊髄髄膜瘤、脊髄脂肪腫などの二分脊椎、そして頭蓋骨の病気と広範囲に及びます。いずれも「乳幼児の頭」に関連する病気や異常を専門に診る診療科なのです。
お子さんやお孫さんを見て、「頭の形」に不安を持った経験はありませんか。明らかに絶壁だ、他の子供より頭が長い、顔が歪んでいるように見える…など、「身内ならではの心配」をされる人は少なくないはず。事実、ある調査で、93%の小児科医が「頭の形についての相談をされたことがある」と答えているのです。
では、頭の形の異常は病気なのでしょうか。すべてが病気とは言えませんが、根拠もなく「心配なし」と答えてしまうのは早急かもしれません。実際に正常ではない頭の形から、脳や頭蓋骨の病気が見つかることはあります。
頭が長い「長頭」は矢状縫合早期癒合症、顔やおでこが歪んでいる「斜頭蓋」は一側冠状縫合早期癒合症、いわゆる“絶壁頭”に見える「短頭」は、両側冠状縫合早期癒合症という頭蓋骨の病気が潜んでいる可能性があります。これら頭蓋骨縫合早期癒合症は外科的手術が必要となります。 「頭蓋形成術」と呼ばれる手術で、小児脳神経外科と形成外科がチームで行います。脳外科医が脳の安全を守り、形成外科が審美性を追求することで、高精度で仕上がりの美しい手術が実現するのです。この手術はなるべく早期に行うのが理想です。時間が経ち、成長が進むほど手術の難度は高まっていくからです。
また、「頭のサイズ」も見過ごせない情報です。頭が大きすぎる場合は、頭の中を循環する髄液が多過ぎる水頭症や、脳腫瘍かもしれません。
反対に一般的なサイズより頭が小さすぎる場合は、脳の発育不全や、頭蓋骨縫合早期癒合症などが原因で頭蓋骨の中で脳が圧迫されている危険性もあります。
検査をして病的な異常であることが分かれば、的確な治療によって改善は可能です。
その他、病気ではないものの、寝るときの頭の向きが正しくないことで頭の形が歪んでしまう「頭位性斜頭」が最近注目されています。これは特殊なヘルメットで矯正を行います。
日本人は頭の形をあまり気にすることがないため、これまでは注目されてこなかった方法ですが、アメリカでは矯正歯科と同じ位置付けに置かれているポピュラーな治療法です。
冒頭で触れたとおり、専門に診る医師の数が少ないこともあって、相談を受けた小児科医もどうしていいのか困っているのが実情です。
そこで私が在籍する国際医療福祉大学成田病院では、今年の9月に「頭のかたち外来」という専門外来を開設することになりました。
大切なお子さんやお孫さんが、健康に育っていくために、両親や祖父母の「気付き」は重要です。もし頭のことで気になるなら、一度、小児脳神経外科医に相談されることをお勧めします。 (構成・長田昭二)
=おわり
■下地一彰(しもじ・かずあき) 国際医療福祉大学病院教授。順天堂大学医学部卒業。米国国立衛生研究所クリニカルセンターPETセンター・フェロー、順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経外科准教授を経て現職。日本小児神経外科学会認定医他。医学博士。