全国で話題の「赤ちゃん食堂」が注目!ママの新しいコミュニティスポットに

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[ad_1]赤ちゃん食堂:母親支援の新しい取り組み

 育児に追われ、自身の食事すら満足にできない母親のために、「赤ちゃん食堂」という新しい支援施設が広がりつつあります。赤ちゃんや幼児を育てる母親たちにとって、この場所は居場所となり、仲間づくりのきっかけとなっています。

 「赤ちゃん食堂」は、昨年11月に神奈川県寒川町の助産院「mamana.house」でスタートしました。参加者はその日、5組の母子でした。

 午前11時15分ごろ、赤ちゃん用の白菜の和風スープや、野菜と鶏団子の煮物などが用意されました。これらの食材は月齢に合わせて手作りされた離乳食や幼児食です。

 赤ちゃんたちはテーブルに座り、手づかみやスプーンを使って食事を楽しんでいます。「うまい!」と言いながらお皿を空にする子どもたちもいます。

 食事が終わると、親たちのための食事の時間です。ココナツカレーやキノコのあえものなど、野菜がたっぷりの料理が提供され、母親同士がゆっくり会話を楽しんでいます。

 スタッフは赤ちゃんが泣けば抱っこしてあやし、母親とおしゃべりをしながら育児相談にのります。

 神奈川県綾瀬市から参加した寺井晴香さんは、11カ月の楽來(らく)くんを連れてきました。「自宅では自分のことに時間を割けません。ここならゆっくりご飯を食べられます。」と笑顔で話します。

 また、神奈川県茅ケ崎市から来た江藤浩子さんは、10カ月の柊羽(しゅう)くんと3回目の参加だそうです。家族以外の人と話す機会が少ないため、「自分のリフレッシュになっています。」と嬉しそうに語ります。食事が提供されるため、持ち物が少なくて済むのが助かるとも話しています。

 助産院の代表である菊地愛美さん(37)は、助産師として働く中で特に、2020年以降の新型コロナウイルスの影響で産後うつの母親が増えたと感じています。

 そこで、菊地さんは周辺の子育て家族825世帯にアンケートを実施し、どんなニーズがあるか調査しました。その結果、母親たちからは「少し一人になりたい」「ゆっくり食事をしたい」「誰かと話をしたい」という声が多く寄せられました。

 普段は当たり前のことが、産後には難しくなります。生理的欲求ですら十分に満たされず、母親たちは自分を大切にすることが難しいと実感しているのです。

 そのような母親たちを支援するために、菊地さんは2022年に産後ケアに特化した助産院を設立しました。月に2回、「赤ちゃん食堂」も開始しました。食事代は大人は400円、2歳未満は無料で提供され、家庭の経済状況に左右されず誰もが利用できるようになっています。近隣の農家や企業からの支援を受けながら、食堂はボランティアによって運営されています。

 予約はネット上で受け付けていますが、告知をしなくても瞬時に予約が埋まるほどの人気となっています。他県からも子育て支援に携わるNPO法人や保育士、助産師などから問い合わせが相次いでいます。

 菊地さん自身も4人の子どもの母親であり、このような場所をずっと必要と感じていました。「地域の皆さんと協力しながら、孤立を防ぐために食事を通じて交流を深めていきたいと考えています。」と菊地さんは語ります。

 同様の取り組みは、他の地域でも広がっています。

 東京都にある一般社団法人「neruco」では、母子家庭を支援するために、2022年11月から月1回、都内で食堂を開いています。母親たちからは、「普段は納豆ご飯や菓子パンしか食べられない」「立って食べるしか時間が取れない」といった声が多く寄せられており、季節の野菜をたっぷり使った和食が提供されています。食事中はボランティアスタッフが赤ちゃんと一緒に遊び、見守っています。また、離乳食(市販品)は無料で提供されています。

 また、双子や障害のある子どもを持つ母親など、外出が難しい理由から来る母親たちも考慮し、配達サービスも将来的に提供したいとしています。代表理事の酒井広美さん(47)は、「『一人じゃないよ。応援している人がいるよ』と伝えたい。」と語っています。

 京都市の小規模保育事業所「あだちほいくえん」では、国の助成金を活用して、昨年、0~2歳を対象に給食として離乳食を無料で提供するイベントを初めて開催しました。3歳以上の家族には1食200円の弁当も用意され、合計50世帯が参加しました。今後も不定期でこのようなイベントを開催していく予定です。

 横浜市内で活動する「まちの相棒」という任意団体は、月1回の食堂を開いており、母親とボランティアの協力の下、離乳食について学びながら食事を楽しんでいます。大人が自分たちで離乳食を作らなくても良いよう、大人用の料理の一部をスプーンでつぶすなどの工夫が施されています。

 独りで子育てをしている場合、朝から夜まで一人で育児に奮闘することが少なくない現状があります。頼れる家族や友人がいない中で、孤立感が増し、社会問題化しています。

 厚生労働省の研究班によると、15~16年の間に出産後1年以内に92件の自殺が報告されています。この期間における妊産婦の死因のデータでは、がんや心臓病などを上回り、自殺が最も多かったという結果も出ています。

 さらに、政府も産後ケアに力を入れる動きを見せています。

 21年に母子保健法が改正され、市区町村に産後ケア事業を実施する努力義務が課せられました。宿泊型のサービスやデイサービス型の施設、アウトリーチ型の支援など、様々な産後ケア事業が充実することが求められ、21年時点でその実施率は8割程度となっています。24年までには全国展開が目標とされています。

 この法改正に伴い、対象も出産直後から4カ月後までから、産後1年以内に拡充されました。

 産前産後ケアに詳しい東京情報大の市川香織教授(母性看護学)は、「子どもが赤ちゃんの時期は、母子二人きりの時間が増え、孤立感や孤独感が強まることがあります。特に離乳食は悩ましいもののひとつです。食堂を通じてスキルを学べる取り組みは非常に良いものです。」とコメントしています。

 そして、市川教授は「母子にとって、赤ちゃん食堂のような安心できる場所が不可欠です。子どもへの負担が大きくなると『虐待』、自分への負担が大きくなると『自殺』に繋がることがあります。そのため、ボランティアだけでは持続できないため、行政や国の支援が重要です。」と指摘しています。

 (大坪実佳子)


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