歯科医が教える!おしゃぶりの使用期限と小児突然死症候群との関係

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[ad_1]おしゃぶりのプラス面とマイナス面について

おしゃぶりのプラス面とマイナス面について

おしゃぶりのプラス面とマイナス面について歯科医芸人の”パンヂー陳”こと陳明裕さんが語ってくれました。先月までニューヨーク州立大バファロー校で講義を受け持っており、アメリカかぶれした気がしないでもないのですが、命に関わることでもあるので専門家の意見として参考にしてください。(聞き手・山本智行)

陳明裕(以下陳):きょうは本流の歯科関連のお話をさせて頂こうと思います。山本さん、いまもおしゃぶりはされていますか?

–はい。あれをしないと、なかなか寝つけなくってって。そんなわけないでしょ。

陳:それは良かった。わたしたち歯科医、特に矯正歯科医は、おしゃぶりに敏感です。というのも、これを続けていると出っ歯や、開咬といって噛んでも上下の歯の間に間隙が開いた状態になることがあるため、骨格的な影響が生じやすい2歳半以降は止めさせるよう親御さんにお勧めています。

–2歳半?そんなことなら、見つけ次第すぐ止めさせた方がよくないですか?

陳:矯正歯科学的に言えば、そうかも知れません。しかし、おしゃぶりは精神を安定させる効果が指摘されていますし、そもそも泣きわめいてる時にくわえさせると、ぐずついてる時なども静かになりますし、寝かし付けも楽に。ひいてはお母さんの育児ストレスの軽減にもなるなど利点も多々あるんです。

–赤ちゃんのときだけは、おしゃぶりOKということで。解決しましたね。

陳:そういうわけにもいかないんです。大人で言うタバコやお酒のように習慣になるのが問題。乳歯列がすべてはえそろう2歳半を超えて、長期に使用すると確実に歯の噛み合わせに影響します。実際、われわれ歯科医は、口の中を見ただけで大体、おしゃぶりか指しゃぶりをしてる子を言い当てることができるくらい特徴的な歯並びになります。

–へぇー。それはそれは。

陳:安易に、子どもがどうして泣いているのかも考えもしないでおしゃぶりを使うと、結果としてことば掛けが減り、親子のふれあいが減り、子ども自身も発語の機会が減るので、発語やことばを覚える1歳を過ぎたら、おしゃぶりホルダーを外して、常時の使用も避ける必要があるとも言われています。

赤ちゃん1歳までは、おしゃぶりの使用をお勧め

–じゃ、やっぱり初めっから使わせない方がええんちゃいます。タバコだって吸わなければ禁煙で苦労しないですむんですから。子供部屋に「ダメ、ゼッタイ!」とか「それはだめ!未来の私がさけぶんだ」とか「1度だけ 甘い気持ちに負けないで」とか貼っといたらどないでっか。

陳:それ全部、国の麻薬とか覚せい剤乱用防止運動期間の標語コンクールの入賞作品やないですか。麻薬とおしゃぶりを一緒にせんといて下さい。それに、日本ではあまり言われていないようですが、アメリカではおしゃぶりが乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防に効果があるとされているので、産科医も寝る時のおしゃぶりを積極的に進める事が多いんですよ。

–ホンマですか?

陳:はい。アメリカ小児科学会が2005年に出したSIDS予防のガイドラインにも▽あおむけ寝の推奨▽固めの場所に寝かせる▽柔らかい毛布や枕などで顔を覆わない▽タバコや副流煙を避ける、などとともに「就寝時や昼寝時におしゃぶりを使用する」を入れています。

–へぇー。

陳:加えて「1歳までのおしゃぶりはSIDSの好発時期をカバーし、歯列不正など口腔に与える影響もないので使用すべきだ」としています。ただし「母乳で育てる場合には、生後1カ月までは授乳が確立していない」ので、おしゃぶりは使用しない方が良いそうです。

–確か、うつぶせ寝は一時、シュッとしたカッコいい頭の形になるとかで、日本でも流行りましたけど最近、誰も口にしなくなりましたよね。でも、うつぶせ寝は、呼吸を妨げそうやなって、素人の私でも容易に想像がつきますけど、おしゃぶりはどういう根拠で突然死を予防できるんですかね?

陳:そんな難しいことは歯医者じゃのうて小児科医に聞いて下さい!

–なんですかそれ!開いた口が塞がりませんよ。

陳:いいですか。論文によりますと、常時おしゃぶりをしている子のSIDS発生率は低い傾向にはあるものの、統計学的には、おしゃぶりをしない子との有意差はないそうです。ところが、普段おしゃぶりを使用してる子だけで調べると、たまたまおしゃぶりをしていない時にSIDSが発生していて、これは統計学的にもちゃんと有意差が出たのだそうです。

–すいません。やっぱり歯科医じゃなく、小児科医に聞くべきでした。説明、聞いてもよく分かりません。つまり、おしゃぶりにはプラス面とマイナス面があるということですかね。

陳:おしゃぶりを咥えているため、うつぶせ寝に成りにくいとか、おしゃぶりを咥えるので下顎がやや前に出て気道が確保しやすくなるとか、おしゃぶりをしてると実際には何も飲み込まないのに吸ってるので、胃の内容物の逆流を防ぐとか、眠りの進度が深くなりすぎるのを防ぐ効果があるとか、吸う事で呼吸関連の筋肉が鍛えられるからとか、いろんな仮説はあるようですけど、実際の機序はよくわかっていないようです。

–まぁ、言われてみれば、アメリカのアニメ「ザ・シンプソンズ」に出てくる赤ちゃんのマギーはいつも、おしゃぶりを咥えてますが「サザエさん」のイクラちゃんは、マギーと同い年くらいのはずなのに、おしゃぶりしているのを見たことないですからね。

陳:シンプソンズ一家のマギーはアメリカ小児科学会のガイドラインが出る2005年の以前からおしゃぶりをしていましたから国民性もあるのかも知れませんね。アメリカの赤ちゃんの方が日本より絶対に「おしゃぶり咥えている率」は高いと思いますんで。とはいえ「命あっての歯並び」ですから矯正歯科医の私も1歳までは日本の赤ちゃんも、おしゃぶりの使用をお勧めします。

(まいどなニュース特約・山本智行)

2022/10/9

まとめ

おしゃぶりにはプラス面とマイナス面があります。矯正歯科医や小児科医との相談を通じて、適切な使用方法を見つけることが重要です。


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